こちらのページでは、
- 実際に被災した場合はどうすればいいのか?
- 非常時に必要な物って何からはじめて何を用意すればいいのか?
- 住宅が被災した後は保険を使えば全て元に戻せまるのか?
という疑問をお持ちの方に向けて、過去の経験と防災士、災害備蓄管理士などの資格を持つ常磐 誠司(ときわ せいじ)の身内からヒアリングした、災害対策と防災に関する必要な情報について解説しています。
増加しつつある大規模自然災害
住宅の売却とは無関係なお話しにはなりますが、昨今の自然災害の猛威に対し、色々と考えさせられることがありました。
ここ10年を遡るだけで、
- 2011年3月11日 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)
- 2011年3月12日 長野県北部地震(栄村大震災)
- 2011年4月11日 福島県浜通り地震
- 2011年9月2日〜 台風12号(紀伊半島豪雨)
- 2013年10月16日 台風26号(伊豆大島土砂災害)
- 2014年8月20日 広島豪雨土砂災害
- 2014年9月27日 御嶽山噴火
- 2016年4月14日 熊本地震
- 2016年4月16日 大分県中部地震
- 2016年8月16日〜 台風7号、11号、9号、10号(激甚災害指定)
- 2017年7月5日〜 九州北部豪雨
- 2018年6月28日〜 平成30年7月豪雨(西日本豪雨)
- 2018年6月18日 大阪北部地震
- 2018年9月6日 北海道胆振東部地震
- 2019年8月28日 九州北部豪雨
- 2019年9月9日 台風15号(令和元年房総半島台風)
- 2019年9月10日 台風19号(令和元年東日本台風)
- 2020年7月3日 令和2年7月豪雨(熊本豪雨)
これだけの自然災害が発生し、沢山の方が家や財産、家族や友達といった命まで失われた方がいらっしゃると思います。
幸い筆者は大阪在住なのと身内も大阪近辺が多かったため、自身が直接的な被害に合うことはほとんどありませんでした。
関西で特に記憶にある災害だと【阪神・淡路大震災】になります。
当時、私は小学校6年生で、それまでに経験していた小さな地震が起きたときは、怖さ半分、兄弟や友達が騒ぐことに対して面白半分といったような感じもどこかにあったと思います。
ですが、あの時の朝方に起きた地震は、恐怖以外感じなかったことを今でも忘れません。
話は変わりますが、冒頭の被災現場をメディア越しで見て感じたことは、被災者の方が避難所で生活をされている様子や物資不足によって困窮している様子など、未経験でありながら相当な大変さであろうことを痛感しました。
災害時は、できるなら在宅避難の選択を
自然災害については天災によるものなので防ぎようが無いですよね。
ある時を境に【災害が起きた際の身の守り方】を勉強するようになりました。
一番学べる方法として、被災者の生の声を聞くことから始めました。
被災者の声を聞くと、状況により絶対ではありませんが、選択肢のひとつとして【在宅避難】ができる環境を作ることが最優先だと実感しました。
理由は、災害から身を守ることはもちろんですが、被災後の避難所の生活は想像を絶することばかりでした。
各々のプライベートはもちろん、極限の状態では人は自我を抑えられなくなり、社会的、経済的な力関係を利用した暴力行為や負の感情が連鎖することでした。
家族と生活を守ることを考えると、在宅避難や自宅敷地内でテントなどを代用し仮住まいとして過ごす軒先避難ができる環境作りが必須だと知り、手始めに防災関連のグッズを一通り人数分用意しました。
在宅避難をするのに最低限必要なものは
災害状況や自宅が戸建てなのかマンションなのかなどによっても変わりますのでこれが正解ということは一概にいえませんが、生きていくために必要な水や食料は【7日分】用意することが一般的には言われています。
また、避難所とは違い物資の配給が直ぐにが受けられない可能性と、移動するための交通手段が直ぐに復旧できないことを想定しなければなりません。
この場合、災害用の非常食として7日分を用意すれば良いと思いがちですが、被災前に購入していた冷蔵庫の食材があるので、冷蔵庫の食材から消費することで非常食を7日分まで用意する必要はありません。
さらに、それだけの分を用意するとなると、自宅内に確保できるスペースが必要になってしまいます。
ただし、ライフラインが途絶え冷蔵庫の機能が停止することで季節や食材にもよりますが、すぐに腐りはじめてしまいます。
2日間はなんとか冷蔵庫の食材でまかなえたと想定したとして、残り5日間分の非常食を準備しておくことが、在宅避難として最低限必要になります。
非常食以外で在宅避難に最低限必要な生活用品は以下になると思います。
- 充電器(乾電池式・ソーラー式・ダイナモ式)
- 簡易照明(LEDライト・ランタン・懐中電灯)
- ラジオ(乾電池式・ソーラー式・ダイナモ式)
- カセット式ガスコンロ
- 災害用トイレ(水に流さないタイプ)
在宅避難の良さは、避難所生活では必要なものが、自宅内にはあることが多いのとプライベートが保たれるため精神的にも負担が小さく済みます。
万が一、7日間で復旧の目処が立たない場合は、避難所に行くことで支援物資が受け取れます。
避難所での支援物資が十分に受け取れるタイミングは、被災状況により大きく異なります。
道路状況などにより、被災日にはすぐに届かいないケースが多々あるため、1週間ほどは耐えしのげる準備を心掛けましょう。
最新の防災用分電盤
防災について学べは学ぶほど、被災時にはあれが必要これが必要となりがちですが、在宅避難時にぜひ、取り上げたいものがあります。
それが、昨年2020年の11月にリリースしたばかりの、非常時に電源供給が可能な【防災用分電盤】です。
電気という今の生活に欠かせないライフラインは、水やガスと比べると復旧するまでの期間は比較的短いものになりますが、それでもおよそ3日〜5日は復旧に掛かっています。
最長では、2019年の台風15号のときで、完全復旧までに約11日間かかったケースがあります。
これまで防災用の分電盤というと、地震による家電製品の電流に関する火災について地震を感知した際に遮断するブレーカーしか思い浮かばなかったのですが、こちらの分電盤は地震や台風などで電気が停電した際に、車や発電機、アウトドア用ポータブルバッテリーなどを活用して、自宅内の分電盤に電気を流すことができます。
しかも、太陽光発電システムを設置されている方は、非常時にパワーコンディショナーから非常用のコンセントに延長用ケーブルを刺して家電製品まで持っていかざる負えなかったのですが、この分電盤をつけると太陽光発電で発電した電気を自宅内にそのまま供給することができます。
『水やガスは使えるけど電気が使えない』なんていうケースもあります。
そんな時に困るのが、お湯を沸かすための給湯器です。
給湯器は、ガスを燃やすために電気が必要なので利用できません。
被災後は、住宅火災保険の活用を
自然災害により住宅に被害があった場合は、保険の給付対象になるため、加入済みの契約内容に応じて申請が行えます。
ただし、それだけの案内だとここで話す必要がなくなるため、ワンポイントアドバイスとしては、【保険会社に連絡する前に保険調査を専門にしている業者】に連絡してから保険会社へ連絡することをお勧めします。
何故かと言うと、保険会社からの調査派遣だと保険会社に有利な条件でしか報告書はまとめません。
保険会社から派遣の調査会社が、【うちは公平に調査します!】とどんなに綺麗事を並べても、そこはビジネスです。
お金をもらって派遣を受けている以上、保険会社側に有利、もしくは、規定に沿って調査を行うことは必然だと思ってください。
被災時は周囲の方も同じ状況になるため、問い合わせが集まりやすい保険会社の調査員に依頼した場合、自宅を見てもらうまでにかなりの時間を要します。
スムーズに調査、申請まで行うためには別で見てもらえる調査会社を事前に調べておくことも重要になります。
数ある保険申請業者の特徴とは
保険調査を専門にしている業者で、保険会社から派遣ではない調査会社は、主に3つ分かれます。
- 住宅を建てた工務店
- 修繕や改装を行うリフォーム会社
- 損害の調査を専門的に行う調査会社
住宅を建てた工務店
住宅を建てた工務店は、ある意味では3つの中で一番安心できる依頼先になります。
工務店はお家を建てることで事業を営んでいるので、損害があった箇所の修繕や見積もりは、当たり前のように実施できるでしょう。
しかし、保険の調査ポイントやノウハウなど申請に関する技術的なレベルは、本来の生業ではないため、最大限の恩恵が受け取れない可能性は高くなります。
ですが、実際にご自身の建物が、災害により現状のままだと住み続けることが困難になるような大きな損傷を受けた場合は、お家を建てた工務店側にお願いすることが望ましいと思います。
修繕や改装を行うリフォーム会社
リフォーム会社の場合、損害があった箇所の修繕や見積もりから火災保険の申請経験が豊富な会社だと、最大限の恩恵まで受け取れる可能性が高くなります。
工務店とは違い、普段から保険申請まで取り扱っているリフォーム会社だと、ノウハウも蓄積されているので保険申請を依頼する先としては間違っていません。
ですが、その会社にリフォームを依頼するのかどうかも含めての検討が必要になります。
また、気を付けなければならないところが、保険申請によるリフォーム工事の場合、通常より高額で請求されることが多いです。
理由としては、保険申請費用も含まれることもありますが、保険申請額以上の工事契約か最低でも保険申請額と同額の工事契約となり、実際の市場価格とは大幅に異なっていることが多いため、施工の経験値も含めて業者選定が肝になります。
損害の調査を専門的に行う調査会社
保険の調査を専門的に行う調査会社ですが、被災直後に依頼する会社ではないと思います。
調査を専門に行う会社は、その名の通り調査を行う会社ですので、修繕の対応はできません。
ですので、被災直後でそのままだと住めないような状況の場合は、修繕ができる会社を別で探さなくてはなりません。
ですが、調査会社の利点はそれを専門として取り扱っているため、保険会社毎の長所と短所や普段から保険の担当者と折衝しているので、交渉術を心得ているところです。
保険会社によっては、保険申請額が50万円以内なのか100万円以上なのかで、審査基準が異なるケースもありますが、そういった対応ノウハウも蓄積されていますので心強いです。
リフォーム会社との違いは、保険給付後の修繕対応について、お客様で自由に選べることができます。
そういう意味では、給付後に修繕をするのかしないのかもお客様の自由になるので、最低限の修繕を行い被災直後の生活苦による貯蓄に回すことも選択肢として考えることができます。
三者三様ではありますが、実際に災害が発生した場合の被害者数は大勢になるため、工務店もリフォーム会社も会社の規模により調査が追いつかない状況に必ずなります。
しかし、申請をしなければ保険による給付が受けられないため、フットワークが軽い調査会社への選択も必要になります。